学習

歴史に対するもうひとつのアプローチ

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作品にみる田舎

人里離れた山奥の閉鎖された村で、呪いが、古くからの風習が・・・とか殺人事件が・・・とかの設定はドラマや映画でよくある。
実際には呪いとかと見せかけて人為的だったり、あるいは本当に呪い的なものだったりして結構すきな部類だ。
たとえばドラマでは『TRICK』とか『金田一少年の事件簿』、サウンドノベルでは『ひぐらしのなく頃に』とか『束縛スル里』、映画では『犬神家の一族』とか『狗神』。
都会や街にはない神秘や美しさ、あるいは異質さが、いまだ手つかずで残されていて、そこにまったく理解もつかないものがある、というのはワクワクする。
オレ自身が田舎の出身なので自然を見て心落ち着くというのも大きい。

あるゲームで「世界に神秘は個人の手が届かないところにしか残っていない〜(略)」ということばがあったが、一番手が届く神秘は田舎かもしれない。

今日聞いてきた話をしよう。
そういった、田舎を学問の対象とする学問がある。
民俗学である。
学問として成立したのは割と最近のことであり、柳田国男によって始められた。
学問の中ではレアな、日本独自で発明された学問ジャンルである。
もっとも今は文化人類学との融合が進んでいるようだが。
民俗学的な面をもつ学問は江戸時代の国学にも見られるが、都市から見下す意識が存在し、学問として違いを一般化するにいたらなかった。
柳田国男の研究の歴史的意義は、都市生活に役立つものとして、田舎をより対等な存在として研究対象とした点にあるのだ。

また、田舎の伝承などを研究することにより、過去の人々の行動・風俗を知ることができるとした。よって資料より、口承に重きを置くのが特徴だ。

さらに田舎の中でも、農人ではなく、山人に視点を置くことでより古い歴史を知ることができるらしい。

民俗学によって、たとえばくしゃみはなぜハクションというのか(ちゃんと説がある)、エンガチョの意味、結婚形態・・・と普段の何気ないことの由来を探ることができ、それぞれの説が(ここでは述べないが)非常に興味深かった。

また、対をなす学問として、偉人たちを追う歴史学を考えることができる。
中学・高校でやった歴史は主にこれだった。
それぞれの時代について具体的にイメージができなかったのだが、民俗学の説明を聞いていてその時代の庶民の生活を具体的に思い浮かべられた。

歴史に対するアプローチの方法として、ふつう変化に目をむけるものだが、あえて変化しない要素を発見する・・・それが民俗学らしい。
なかなかおもしろそうなジャンルであるので、いつかこのジャンルを読むことがあるだろうと思う。

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