目次
あらすじ
「ゆるキャラ」等、本来概念すらなかったことに意味を与え、ブームを作り出してきたみうらじゅん。
そんな本来影も形もなかった「ない仕事」を作るための方法を公開。
これまでの仕事の紹介も兼ねて例に出し、みうらじゅん初心者でも楽しめる内容になっている。
そもそもみうらじゅんはどういう人なのか?
「ゆるキャラ」や「マイブーム」の造語、流行を作ったことで有名だが、実際何してるの?という人も多いのでは。私もよく知らなかった。
『週刊文春』や『週刊プレイボーイ』でコラムを連載しているが、文章からは全く人物像、なりわいがわからない笑。
調べてもよくわからない。どういう経緯で有名になったのか…がイマイチよくわからないのだ。
本を読む中でわかったのは、様々な企画をしている、ということ。
マイブームを追求し、結果できあがったものをそれを出版社などに持ち込みするそう(世間ではまだないものなので、営業の必要がある)。
企画によって、映像、漫画、本、イベント…と様々に媒体を変えている。内容ありきで、効果的な表現方法を変える。
なので職業として区分けできず、どんなことしてるのかがわかりにくくなっている。
展覧会やイベントに行くなどして知っている人はどんな人というイメージが明確にあると思うが、東京以外に住んでいたり、世代が違うとなかなかイメージが湧かないかもしれない。
業績の例
具体的お仕事の例をあげていく…
・ゆるキャラ(ゆるい全国ご当地キャラの総称)
・とん祭り(外から見ると「とんま」に見える祭り)
・勝手に観光協会(勝手に観光協会のまねをしてご当地ソングなどを作る)
全国からこれらの情報・グッズを集め、本にしたり映像にしたり、イベントをしてその面白さ、おかしさを伝えることで、ブームを作りあげていく。
本文中から引用すると…
収集しただけではただのコレクターです。それを書籍やイベントに昇華して、初めて「仕事」になります。
としている。
重要なこと
本書で述べられている、興味深い教訓はいくつかある。
没頭すること、極める方法を学ぶ
みうらじゅんを語る上で欠かせないのは、没頭だ。
幼いころから仏像、恐竜とハマってはスクラップブックにしてきたという。
今の職業にぴったりあう。
没頭するものがない、何がしたいのかわからない、という人は多い。
なので没頭できること自体が才能である…と思っていたのだが、彼自身も、さすがになんでも最初から没頭できるわけではないという。
そういうときは、まず大量のグッズや情報を集めていくことからはじめるという。
そうすると、圧倒的量が集まってきたから好きになっていく(「自分洗脳」)らしい。
掃除など、やりはじめるうちにやる気が起き熱中してしまうことがあるが、同じようなことか。
幼少期からの実績があるアドバイスで、実に参考になる。
言葉ひとつで印象が180度変わる
彼の言葉に、「親孝行プレイ」や「失恋プレイ」というものがある。
どちらも、プレイを付けただけだが、自主性と好んでやってる感が出て、なんか元気とやる気が出る。
これも「自分洗脳」の一例でみうらじゅんが日常的にやっているという。
コロンブス卵な、すごいネーミングセンスだが、まず日常で普通に使え、応用の効きやすい考え方だ。
このように楽しみ方、受け止め方を変える方法を知っておくことは、仕事として人に伝えるときだけでなく、人生の充実度、精神衛生的にメリットが大きいと思う。
自己満足に終わらせない
上で引用したが、もう一度。
収集しただけではただのコレクターです。それを書籍やイベントに昇華して、初めて「仕事」になります。
そう、みうらじゅんがみうらじゅんたる所以は収集能力、絶妙なネーミングセンス、そして営業・企画能力にある。
「一人電通」(これもわかりやすいネーミング!)として営業も同時に行っている。
企業・各種媒体を巻き込むことで大きな企画になり、大きなお金を動かし、ブームを作り出す。
考えてみれば日本には、先進的な目の付け所で後の世界で流行するモノを先んじて生み出してきたものの、魅力をうまく伝えられず市場形成が遅れた、という例がいくつもある。
どうアウトプットし、よりたくさんの人に知ってもらうか、を考えることも、情報やモノを集めるのと同じくらい重要だ。
情報は集約して意味がある
情報があふれている時代だが、今まで概念すらなかった切り口で編集された情報の重要性は、むしろ上がっている。
小説なんかも、最終的メッセージありきで編集されていると考えれば、重要性が落ちることはないだろう(情報の必要性がない、バカな人は増えるかもしれないが…)。
逆に個別の情報に価値はほとんどない。
例えばこの記事…単に本を読んだからといって価値のある情報にはならない。
ということで…何かテーマを決めて「マイブーム」やってみようかと思ってます。
それくらい具体性とエネルギーの溢れる本でした。