村上龍 読書

『おじいさんは山へ金儲けに―時として、投資は希望を生む』がイイ味出してる。

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あらすじ

投資の概念と基本的知識を、昔話を現代風にアレンジして伝えるという趣旨の文章(絵本)。
例えば第2章の「桃太郎」は「将来と現在の価値を比較する」という投資の考えを、昔話『桃太郎』をアレンジして伝えている。

強引な展開と毒に笑う

…のはずなのだが、物語が斜め上すぎて投資の教訓は全く頭に入ってこない!

地の文と挿絵は昔話、童話風でほのぼのしているのに、ところどころぶちこんでくるリアルな教訓や、昔話にそぐわないアンモラルな文章が出てくるのが気になって、面白くて仕方ない。

その一例を紹介。

おばあさんは、おじいさんのような、何の能力もない男と結婚してしまったことを後悔していたので、今日という一日の使い方によっては明日が変わってくる、ということに気づいていたのです。(桃太郎)

露骨。こんな自覚的なおばあさんやだなー。

おじいさんが集めるたきぎは、アウトドアショップで売れるようなしろものではなかったので、おもに冬の間、寒さを防ぐために自分たちで使っていました。(桃太郎)

アウトドアショップあるのかよ!笑というのは置いといて、経済力のなさに塩を塗る…。

赤鬼の女社長のセクハラは、だんだんひどくなっていき、リトルボーイは、気が狂いそうになってきました。(一寸法師)

一寸法師×セクハラ!?この文だけだと特にアレだなあ…リトルボーイは、一寸法師役のあだ名。

メグミちゃんは、東北の出身で、えりとそでにレースのフリルのついた黄色のスーツを着て、恐竜の赤ちゃんのような顔をしていましたが、胸はGカップでした。(さるかに合戦)

「が」の次がw。ブスにやたら厳しい村上龍あるあるな文章がイイ。

みかんを持ってさらに歩いていると、今度はのどが渇いて倒れている女子高生がいた。女子高生は、援助交際をしたあとで、激しくからだを動かしたので、水分が足りなくなって苦しんでいたのだった。(わらしべ長者)

わらしべ長者×援助交際。この2つが結び付けられたのは、世界初では。あとみかんで水分補給になるのか(そこ?)。

全体的に投資要素が水のように薄まってはいるものの、村上龍節がにじみ出まくってて、すごくイイ。

投資・経済要素は解説読んで初めてわかる

各章の最後に用語を用いた解説があり、それを読めば投資的教訓が理解できた。
逆に言えば、解説を読まないと投資的な教訓は見いだすのは難しい。

投資の考え方を伝えるという趣旨の達成という観点からいえば、物語と教訓がうまくマッチしているとは思えなかった。
単純に読み物、物語としては面白かったし、投資以外の教訓もなるほどなあと思うのもあったのだが、趣旨の達成はビミョーかなと。ズレてる感じがすごい。

たぶんそのズレがイイ味を出してると思う。

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