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表現・構造が素晴らしい名作『さよならを教えて』

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2周めが肝心

久しぶりにノベルゲーム『さよならを教えて』をプレイ。うまくできてるなーと再び感動。
美しく狂気のこもった表現、叙述トリック、自己対話的意味を持つ女の子との会話がすごいです・・・!

以前は確か、バッドエンド?(人見先生が暴走するやつ)とトゥルーエンド?(別の妄想が始まるやつ)を見ておおーっスゲー!となってとりあえずプレイを終了した記憶がありますが、記憶にないやつが多数出てきました。ちょっと新鮮な感じと共に、もっと味わえよ!という過去の自分への疑問が。

伏線として理解してなかったとか、アレなセリフを言う音声に慣れてないとか、たぶんあったんでしょうね。1周めで気づかないことも多いです。
新鮮な気分で楽しめました。

どのルートでもイベントは起きている可能性

あとやってて気づいたんですが、なんだそれ?そんなイベント知らねえぞ?ということがけっこうありました。そのプレイ時にはイベントとして消化していないもの、例えば天使の樹の話を女の子に聞いてないのに、聞いているものとして扱ってたりして、??となったんですが、後で別ルートで進めているとそのイベントが出たりします。

要は睦月以外の女の子で起きるイベントは全部自分の頭の中の知識としてある内容なので、そのプレイ中にイベントが発生してようがしてまいが、関係ないんですねー。
どのプレイ時でも、妄想に関わるイベントはすべて起きていると考えられます。もっとも、妄想か現実かの境界がかなり曖昧な部分も多いのですが。
ほとんどのアドベンチャーゲームでは選択肢は排反ですが、このゲームでは大して変わりません。
だから各女の子ですべてのイベントを消化するとああなるほど、ここで聞いたのか・・・、というのはわかるんですけど、ストーリー的にはあまり意味はないというw

隠された意味、人見先生の人格像、過去がわかるのでやったほうがいいと思いますが。

会話にすべて意味がある

女の子との会話すべてに意味があるすごさがあります。
自分との対話といってもいいですね。
女の子(特にこより)から投げられる辛辣な言葉に言い訳をすることなく傷つきますが、実は自分でわかっている、という構造。

自分の心理の奥深くにある、実は自分で感じている弱点を、辛辣な、的を得た表現でかわいい女の子に指摘されたいという欲望はありますけどね。かわいい女の子というより、ふつうに人とのつながりとして欲しい。
そんな人ってふつうあまりいないのでは?みんなが表面的なわかりやすい弱点を指摘してきて、うんざりすることがほとんどです。なにもわかっていない・・・。

タレントの伊集院光は、悪口としてデブ!というのはもう慣れすぎてて何も感じ無いが、「目が笑ってない」というのは奥さんや、話のプロの人から指摘されるみたいで、そこには自分の奥深くにあるものを感じるとのこと。

キく罵倒をするのもされるのも難しいですが、人とのつながりにおいては必ずしも悪いことではない―と思います。

表現の素晴らしさ・美しさ

地の文でも長々として繊細な、人見広介の精神を表すような文が美しいです。
中でも特に狂ったときの長文・リピートは素晴らしく、ゾッとすることは多々ありました。作家の方はどうやって考えるんでしょうか??尊敬。

背景をあえて的違いなものにしたり、変わらないのも、徐々にする狂気のネタバラシとしては非常にうまいなと。安定していた主観がどんどん客観的になっていってアレ?明らかにおかしいぞ?ってなる、出題とネタバラシのちょうど間らへん。
文章じゃ絶対表現できないですよね。

R18だからできたこと?

私はこうした、叙述トリック、信頼できない語り手・・・の作品が好きです(当然後から知るわけなので、選好はできないんですが)。
乙女ゲーム、R18なゲームと相性がいいです。

まずそのテのゲームというのがミスリードになっています。乙女ゲームだと没入感を高めるため主人公の立ち絵がないのは不自然ではないですし、主観であることを意識させることなく物語を進めることができます。女性がたくさん出てきて、ご都合主義を展開して多少不自然であっても、なんとなく気になるだけで、見過ごされます。

また、R18であくこともミスリードですね。白昼夢のエロくグロい妄想を見てしまう先生を体験することが、R18たる所以、そこに需要があるのかはともかく・・と最初は思うのですが、それはミスリードで、存在自体が妄想というオドロキ!
妄想はじめ、作中で常に悩む人見先生ですが、もっと根本的なところで問題を抱えている恐怖・・・。

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