あらすじ
女性誌「SAY」(現在は休刊)の読者相談コーナーでの村上龍の回答をまとめた本。
自由すぎる回答
文脈としては、読者の恋愛に関する質問の回答集なのだが、これがなかなかいい味を出している。
まったく具体的なアドバイスをしない笑。
本人は若い頃から遊んでそうですから、具体的なアドバイス聞きたいですけどねー。ぜひ。
回答のほうは、すぐ理由を男のほうに、社会、経済のほうに持っていってしまう!
確かにそうかもしんないですけど、そういうメッセージもらってどうなんだろう…っていう。
小説、ほかのエッセイであるように、だいたいのメッセージ、指針、危機感は与えたから、具体的方法は自分で考えろ。というスタンスを崩さない。
また、個別の質問になんか答えられない、個別のケースによる、ということも本文中で言っている。
それも確かにそう、正論だけど…それ言っちゃ身も蓋もないというか、世の中のたいていの質問コーナーは存在意義がないというか、…さすが!
また、最終的に伝えていることが?だったり、結論がうまくまとまりませんでした、で終わることもあり、抜けたところもあっておもしろい。
男性にも響く
ありがちな、男性目線から考えるアドバイスではなく、男性の社会的役割の変化、経済に、相談女性が抱える問題の原因を求め、回答することが多い。
女性誌上の回答で女性向けだと思いがちだが、男性も理想や、反対の最悪の姿をイメージすることで、参考になる(回答として自由すぎるが)。
男性として特に重要だと思ったことは、
・経済的・心理的に自立している(自立している人間だけが関係性を結ぶことができる)
・充実している(自信、誇りがある、寂しさから相手を選ぶことがない)
といったところだろうか。
こういった人間を選ぶことが重要で、自らもそういった人間であることが、恋愛の前提条件だ。
よって本文の冒頭で述べているように、誰にでもできる恋愛というのは、社会システムの変化によってなくなってきている。
そのことについて自覚的になり、生きていくことが相談内容の解決策となる。
具体的アドバイスなんて、ない
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