村上龍 読書

男女関係のモデルは存在せず必要ないが、原則はある

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村上龍『とおくはなれてそばにいて』は恋愛小説集である。

作品リスト…
白鳥
『ジャズと爆弾』
ニューヨーク・シティ・マラソン
『POST[ポストアートのある部屋]』
トパーズ
村上龍料理小説集
『恋はいつも未知なもの』
ワイン一杯だけの真実
『どこにでもある場所とどこにもいないわたし』
などに収録された短編小説で構成されている。

どういう短編小説集か?

今までは男女の賃金の格差とか、社会通念とか、世間とか、そういうものが依存を許していた。

まえがきで「現代の日本社会には、ある程度の自由があるので、一般の男女にも恋愛が可能になった。だが多くの人がその「自由」にとまどったり、怯えたりしている。」と言っているように自由は大きくなった。
しかしお互いの依存を許すものは消えつつある。
自由を得たが方法やモデルがわからない人が多くなった結果婚姻率は下がり、離婚率は上昇している。
別に悪いことではない、結局かけた時間と相性の問題なのでそういうものだと思う。
ただ、かけた時間や努力がすべて泡と帰すのはもったいない気もする。
正しい認識と方法があれば2人にとって予防できたこととも言える。

経済的なことも大きく影響を与えているが、ドラマなどを見ていると相変わらず状況が変わったことに対応できていないと思う(自立した人間の関係はあまりドラマチックな展開にはならないような気もするが)。

この小説では、実際どういう関係が依存しあわない関係なのか?ということを物語に織り込んでいる。

お互い依存しない、自立した関係とは何か?

大切な人でも物理的に離れている時間が長いと、相手が重要だと思うことはほかにもあるのだと認識できる。
それでもお互いに時間を作って会ったり会話することで、お互いにとって大切だと確認できる。
自立し、他者を認識してはじめて自分を確認できる…というようなことは、村上龍の小説でよく描かれる。

男女関係は、たいていそういう関係で、不倫関係も基本的にそういうのになっている。
村上作品で頻繁に描かれるうまくいっている不倫?は、お互いの関係の尊重の最たるものである。
妻のいる男は不倫した相手を経済的に庇護し優しく紳士的に扱い、女は男の家庭を崩したり踏み込むことなく高級な食事、旅行を楽しむ。

現代の恋愛に理想的なモデルは存在しないし、必要性もない。
各個人のケースそれぞれだ。
だが基本的なことは不変で、依存しあわず信頼を積み重ねるということが根幹になる。
そういうことを、村上龍はいくつもの小説で繰り返し言っている。

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