ゲーム

シミュレーターに面白さはいらない、ただディテールがあればいい

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シミュレーションゲーム(以下SLG)、というゲームのジャンルがある。
文字通りシミュレーションをやるゲームのことなのだが、大きく2つに分けられる。

一つはマクロなもので、『ザ・コンビニ』(コンビニ経営ゲーム)とか『Simtrans』(鉄道会社経営ゲーム)とか『Civilization』(国取りゲーム)といった、経営判断や政治判断をやる。
ストーリーはたいしてないが、多くのパラメータが設定されていて最適な資源配分を行っていくことがゲームの楽しみとなる。
もう一つはミクロなもので、『電車でGO!』(列車運転シミュレーション)とか『Euro Truck Simurator』(長距離トラック運転シミュレーション)などの、実機を体験するシミュレーションだ。

『Gold Rush: The Game』というゲームは、金の採掘シミュレーションである。
スコップで土を掘り返しふるいにかけて金を取る作業を最初はしないといけないが、徐々に機械に置き換え、最終的に重機で採掘していくというのが醍醐味なゲームだ。
どれも地味な作業で、ミクロな実機体験の区分に入る。

このゲームは面白いか、という質問に価値はない(つまり、面白くはない)。
いかに忠実に再現しているか、ということに価値がある。

面白さ、演出まで犠牲にした忠実さ

GRTGは面白さ、演出まで削ぎ落とした、超リアル指向のゲームだ。
高度な資本主義のもとで嗜好が多様化するのは常識だが、ここまでくるとよくわからない。
こういうゲームが市場に出てけっこう売れている?らしいから(少なとも日本語に翻訳される程度には)、多様化は深刻なものともいえる。

ここまでしないと売れない…。
もちろんはプレイヤーの私にとってはいいことだが、ゲームを買うためには何か価値を創出する必要があるわけで、そんな地獄みたいなところ(レッドオーシャンだ)を生き抜ける気がしないんだよな…。
以下、どのようにリアルさが表現されていくのか示す。
(実際の採掘を知らないのでリアルっぽいっていうことだが…。)

作業!作業!作業

ゲームは基本的にすべて作業である。
いや、コミュニケーション以外の生活ほとんどは作業な気がする…というのは置いておいて、ゲームは作業で、単なる指の運動に過ぎない。
それでも続けるのは、わかりやすい光、音、文章、が自分の操作によって反応し何かを成し遂げたような気にさせ、快感と結びつくからだ。
ゲームはそこらへんを工夫して、プレイヤーを虜にする。
まるで実際に関与し意味があるような錯覚を与えるのがポイントで、一度条件付けられると単調な作業にも意味を見出し耐えられるようになる。

ほかの娯楽例えばテレビ、映画、小説だとこうはいかない。
同じ映画を二度見るのは苦痛だし、CMを見るだけでもチャンネルを変え、小説は二度と読まれない。

刺激と操作の反応による安易な依存状態とか、そういうのがゲームの危険で楽しいところなのだが、GRTGはそれに頼っていない。
地味な演出、地味なSE、音楽、増えない金、ひたすら地道な作業を強いられる。
だからクソ面白くないとも言えるが、リアルさを忠実に追求した姿勢には好感が持てる。

本物の金採掘は絶対面白くない。
建設とかは成果が見えるが、採掘はただ掘り返すだけだ。
虚しいことがほとんどだろう。
たぶん何百時間とやっていくうちのフッとした瞬間に快感があって、辞めない人間はそれを追求するんだろうなと思う。

アイテムは一つ一つ掴むことしかできない

現実世界の私たちはインベントリスロットを持っているわけではなく、手で持つ。
GRTG内でも同様だ。
ゲームにありがちなインベントリという仕組みはなく、手で持つしかなく、一度に一つしか持つことができない。

ここでアイテムを買うときの流れを説明しよう。
ショップで商品に近づいてボタンを押すと、数量が表示されて数を選択する。
そしてレジに向かうと、最終的に買うものがリストになっていて、精算できる。
通販の「カート」のようなものだ。

そして買った商品は外の揚げ降ろし場に無造作に置かれる。
梱包とか、レジ袋とかいう概念はなく、その場に無造作にただ置かれる。
さて、どうやって運ぶか?
ゲーム内では一度に一つのものしか運ぶことができない。

軽トラを使う。
荷物を掴んで、一つ一つ往復して荷台に放り込んでいくのである。
枠が高くなっているので、落ちることはない…。
なんという、面倒くささ!リアリティを通り越して現実より面倒くさい気がするが、買い物している感とモノへの愛着が生まれてくるから不思議だ。

ガソリンスタンドや工具ショップが遠い(後に通販を利用できるようになる)

採掘場とガソリンスタンド、工具ショップが遠く、買い忘れなどがあると面倒くさいことになる。
…リアリティ!
あらゆる現場作業と同じように、前もっての予測と準備が必要になる。頭を使わないといけない。

乗り物の操作が多い

GRTG内のすべての乗り物は発進するときエンジンをかけて、サイドブレーキを解除する必要がある。
エンジンをかけ放しにすることもできるがガソリンを消費するし、サイドブレーキをかけないと坂道でもないのにひとりでに移動しまくるためこまめに操作することになる。

クレーン車やショベルカーだともっとすごく操作することになり、重機シミュレーターとしても十分イケると思う。

稼げない

土を掘り返し、水で洗い、金の粒を選別してピンセットで取る。
…0.5グラムくらいずつ増えていき、やっと100グラムに達したので相当高くなるだろうな…と期待しながらインゴットにして銀行に売り払うと、雀の涙程度。
各工程を改良しても基本的に稼ぎは少なく、作業を鬼のように繰り返す…苦行だが、これが現実なんだろう。
まだ、掘れば金が出るだけマシというものだ。

機械化してもあまり早くならない

低い効率、スピード感のなさ。
機械化への夢が膨らむが、たいしてスピードが上がるわけでもないし、完全に機械化できるわけでもない。
上位機種の買い替えに要する労力がハンパではないが、まだ見ぬ重機を操作するため、苦行に励む。
重機そのものへの愛がないと、進める気にはならない(私は諦めた)。

職業体験としてのゲームの可能性

ということで、クソ面白くないのだが、面白いだけがゲームの価値ではない。
職業体験としてのゲームの可能性を感じた(ありきたりだ)。
人生を左右することにも関わらず職業に関する情報は少ない。
文章で読んでもいまいちピンとこない。
知ったところであまり変わらないかもしれないが、多大な期待を寄せて失望するということはなくなるだろうし、逆のこともありえる。
今まで作られなかったのはコンピュータの性能、そして需要がなかった(ように見えた)からだが、2つはクリアされようとしている。

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