村上龍 読書

成功にはモチベーションと、科学的努力が必要

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若い人間はこれからどう生きればいいのか?
というようなタイトルの本がなぜかまた売れている通り、これからどう生きるかというのは重要なことで、変化が激しい時代だとなおさら大切になる。

再びたくさん売れたその本は経済的に役立つことは一切ないし、現代に合致していない古臭い内容なので特に参考になることはない。
そこらへんにあざとく目をつけてリメイクした人のしたたかさは参考にするべきだと思うが、これからの生き方に活かせることは何もない。

変化はしているのはわかるが、たいていの親や先生、周りの大人は誰でも公務員や大企業に就職しろということしか示せない、本人がそうやって生きてきたから。
なので本に頼るしかない…。

村上龍『置き去りにされる人びと』3章に、生き方について示唆的なことが書かれているので、紹介する。

身も蓋もない成功

『置き去りにされる人びと』3番目の章「日本、日本人という主語の限界」では、人生のモデルを競争と非競争に分けて考えることを唱えている。
エッセイが書かれた約20年後の今でも、社会は新たなモデルを提示できていない…。

競争社会での成功について書かれた部分を勝手に要約すると…
成功するのには身も蓋もない科学的努力が必要で、それが必要だということはあまり言われない。
代わりに苦労とかきっかけとか、秘訣があれば成功できるとマスコミは伝え、読者をだます。
科学的努力を可能にするのは自分が何をしたいか(=モチベーション)理解していることであり、若いうちに見つけだす必要がある。(要約終わり)

原則は極めてシンプルで身も蓋もない。
他人の成功を表面上聞いて応用できることはほとんどない、ただ自分がどう努力するかだ、と納得した。

あらすじ

村上龍のフリーテーマなエッセイ、『すべての男は消耗品である。』シリーズの7巻目。
同時多発テロ、小泉首相の構造改革などがあった頃の2001年4月〜2003年3月が収録されている。

20年前の文だが日本社会は相変わらず対応できていない

…当時の時事ネタ、小説執筆にまつわる話などが独特の視点から語られる。
20年近く前のエッセイだが、悲しいことに全く違和感なく現在にもつながる問題ばかり。
だから読む意味はあるのだが、問題の存在がコンセンサスとして定着すらしていないのを見るに、村上の徒労感はすごそうだな…と思った。

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