村上龍 読書

女子高生のための援助交際マニュアル『ラブ&ポップ』

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あらすじ

吉井裕美は宝石店でトパーズを見つけ、買いたいと望み、そのためによりハードな援助交際をする…。

まともで普通な人たち

語り手である好井裕美には、中の良い友達がいて、その会話や状況を通してリアリティのある実態…いかに彼女たちがまともで普通かに対して驚いた。
というのは援助交際といっても色々レベルがあって、ライトなものだったらカラオケ行くだけとかで、別に誰でも抵抗なくできる。

高校時代やっていた人がいたのを思い出した。
オジサンとカラオケに行って、食事して金を貰う。

そのときは援助交際がそういうものも含むということを知らなかったが、あれ援助交際だよな…、田舎にもあるのかもしれない。
知らない世界だった。

ありのままに描く

序盤〜中盤は女子高生とオジサンの具体的な援助交際の数例を描いている。
具体的でどれも妥当でリアリティがあるのでたぶん実際の知識というか、取材の成果なのだろうと思う。
そんなふうにやるんだ、とそれだけでも面白かった。

電話でメッセージのやりとりをし、自己紹介声や内容の感じ、値段で選び電話をかけて出会い、食事をしたり、カラオケに行ったりして、金を貰う。
買っているオジサンはたいてい金はあり偉そうにしているがショボい、そうしたことに女子高生は気付いている。

問題視しているわけではない。
ただ彼女たちが援助交際をどうやり、位置づけているかをニュートラルに描いていて面白い。

なぜ村上龍が書くのか?

なぜ若くも女子高生でもない村上龍が女子高生の援交を題材に書くのか。
それはたぶん「キャプテンEO」が最後に言ったことに集約される―知らない男の前で裸になるとき誰かが死ぬほど悲しんでいる―。
モラルなどではなく、具体的で個人的な関係性の中で誰かが悲しむことを想像しろ、ということだと思う。
やめろ、とは言っていない、ただ想像しろ、と言っている。

村上自身が経験した無力感、とも無関係ではないと思う。

日本ではモラル、世間といったもので悪と決めつけ解決することはできなくなっているし、これからもできないが、未だにモラル以上の教育はできていない。道徳?アホだ。
ではモラルに変わる何を採用するか?
宗教はないので個人と個人の関係しかない。
が、未だに日本には個人の概念が存在しないので規範なくあらゆることが可能になっている。

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