村上龍 読書

4Kより脳内映像

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熱帯は生命のエネルギーに満ち溢れていている。
太陽エネルギーを最も享受しているのは事実なので、合っていると思う。
人々は熱帯に注ぐエネルギーとエネルギーを享受する生物に惹かれる。
熱帯のイメージで感動するであろう高コントラストの空、ジャングル、透き通る海は豊富なエネルギーの結果だ。

過酷な温度、湿度、未知の病原菌、人がどうこうできる感じはしない。
住民は、そのエネルギーに逆らうことはせずにゆっくり暮らしているイメージがある。
実際はどうなのかは知らないが、暮らしていくに十分な、豊富なエネルギーがあればあくせくする必要はないし、あえて逆らう必要はない。
熱帯の住民は、どのような生活を送っているのだろうか。

村上龍『悲しき熱帯』は熱帯を舞台にした短編小説集だ。
「フィリピン」「ハワイアン・ラプソディ」「スリーピー・ラグーン」「鐘が鳴る島」「グァム」を収録している。

浮かび上がる爽やかな熱帯の映像、熱帯の人々のささやかな希望が描かれている。
4Kの時代だが映像を見るより、村上作品の言葉から組み立てられていく脳内映像のほうが美しく正確で、解像度が高いことが多いのだが、『悲しき熱帯』では顕著だったと思う。
どうしてこういうことができるのか、よくわからない。

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