村上龍 読書

溢れ出る過剰さは、仲間を見つけることで増幅され、幸福にもつながる―『超電導ナイトクラブ』

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あらすじ

銀座の路地裏にある「超電導ナイトクラブ」では、ハイテクと変態を極めた先端技術者たちが毎夜集まり、語り合い、狂乱する。

ボディビルダー、男言葉で話すマッチョなママ、社会学的見地から見た人造人間、光ファイバーの専門技術者、中古パソコン業者、セラミック技術者、ウイルスの専門家、人口臓器の専門家…が織りなす変態・狂気・アンモラル・科学知識は今夜何の化学変化をもたらすのか?

モラルに縛られることがない、専門知識を持った変態集団は強く、幸福だ

モラルと社交性のない、コンプレックスのある一芸に秀でた人物の集団…は村上龍フリークならピンとくるところだ。
もちろん『昭和歌謡大全集』『半島を出よ』の「イシハラ」の属する集団だ。

今作では特に専門知識があり、会話がハイテク、スノッブで大学レベルの高度な知識なのでわからない部分が異常に多いが、彼らは共鳴しあっている。
村上龍『人生における成功者の定義と条件』で、今までの成功条件が機能しないこれからの「成功者」の条件について、それぞれの分野の一流人物に「成功者」の定義についてインタビューしている、その最初の章で、成功者の仮説として「生活費と充実感を保証する仕事を持ち、かつ信頼できる小さな共同体を持っている人」を立てている。

彼らは最初の仮説通りにいけば、成功者である。
先端技術という誇りと能力と自信を持ち、変態だが志を同じくし、ハイテクについても分野は違えど理解し理解され、大企業や官庁敵視を共有する友人がいて、アンモラルなことも、語り合うことができる。

バランスなんてあったものでなく、過剰さしかないが、行動のときの統率や、目的が定まったときの行動力はスゴいものがある。

一般的な幸福さからは遠く離れているように見えるが、幸福の形の一つとして、究極のところを行っているような気もする。
そもそも、一般的な幸福というのが貧しいイメージなのかもしれない。

溢れる過剰さ

不倫、乱交、SM、スカトロ、…変態的でアンモラルでナンセンスなことが出てきたと思えば、高度な科学、例えば脳科学物質が出てきたり、スイス銀行との歴史的つながりの解説や、長い名刺の肩書でページ一面に並んでいたり、…読んでて意味不明の世界に入ってしまうことも多い。

元々不定期連載だったこともあるのか、話全体で意味があるというより、各章が独立している、それでも意味がよくわからなかったりもする。

意味なんて最初からないのかもしれない…起きる出来事の過剰さ、アホさ、無意味さ、そしてぶっ壊れた文章の走り方を楽しめればそれでいい。

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