村上龍 読書

言葉で伝えようとすることで伝統行事はより強くなる

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七夕とか、ひな祭りとか正月とかいろいろな伝統行事があるが、あまり詳しいことを知らない。
小さい頃に聞いたりしてだいたいやることは知っているが、なぜなのか、ということはわからない。
たとえば正月に鏡餅を飾る理由、というのは常識なのだろうか。わからなかった。
まあ伝統行事は理由を言えることに意味があるというより、なんとなく毎年やらないと変な感じがする、というくらいの気もする。

『日本の伝統行事』はタイトルそのもの、日本の伝統行事を紹介する絵本である。
海外へ伝統行事を紹介する意図もあり英語訳も掲載されている。

価値のある伝統行事を行い継承するうえで意味や由来を知ることは必要かもしれない。
経済主義(たとえばコンビニ)で本来の意味を失い、変質していくからだ。

そしてグローバル化で意味・由来を知っていることが必要になるときが増えてきた。
海外で自国の文化を伝えるとき、言葉で説明しないといけない。
どうしてやっているの?と英語で問われたときにわからないけど毎年やっている、では伝わらない。

言葉で伝えようとすることで伝統行事はより強くなる

村上龍は、この本で何を伝えたいのかというと伝統行事の美しさや価値であって、国家的なアイデンティティを確認するためではない、といっている。
花火や七夕は単純にうつくしい。

日本にいると、知っていることは全く同じだという認識があるので説明する必要がない。
言葉が必要になるのはことばやバックグラウンドの異なる外部が存在するときで、だいたい海外の人になるだろう。
幾多の理解してもらおうという試みのなかでより文化は外部に向けてのことばを獲得し、後世へも伝えられるのかもしれない。

伝統行事は消えかかっている、担い手がいないという認識が一般的だが、グローバル化の説明の試練に耐えた伝統行事はより輝きを増していくかもしれない。
打ち上げ花火は確実になくならないだろうけど、月見なんかは忘れ去られそう。なんか地味だし。

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