『長崎オランダ村』を読んだ。
同名の観光施設はハウステンボスのルーツとなった施設。
コミカルさと醒めた感じがよかった。
あらすじ
高校時代の村上龍の自伝小説『69』にて校長室にウンコをした中村は長崎のイベント会社の社長になっていて、長崎オランダ村に関連したイベントの仕事をしていた。
各国からパフォーマーを呼びイベントを演物をさせるのだが、カオスな状況でさまざまな出来事が起こる。
それらを中村が、村上本人がモデルである「ケン」に話し、さまざまなことを考え、論を交わしていく。
あまり長崎オランダ村は出てこない
題材とはいえタイトルにするほど長崎オランダ村が重要な役割を果たすわけではない。
しかし長崎オランダ村という設定があるからこそ日本で生まれるカオスの面白さとか、なにか気づくことがあるわけで、意外と重要なのかもしれない。
日本のそれも地方に各国からパフォーマーが集まるのが自然なシチュエーションはほぼないわけで、現実にこういう出来事がないと想像されることもあまりない。
フィジーの酋長はなおさら来ない。
これが現実にあったらしいという体をとることは、退屈な地方にカオスが混じりこむ様子のリアリティをましている気がする。
物語の情景を思い浮かべる想像力と、自分の身にあてはめて共感する想像力は異なる。
後者のほうが攻撃的で、考えることを強いている気がする。
ふつうに生きていてカオスなことなんてほとんどない。
ほぼ唯一の例外は幼稚園児くらいのもので、あとはもう街中がシンとしているくらいに感じる。
ということで内容的には題材となっただけでべつに長崎オランダ村自体を深く書いたというわけではないのだが、知名度を高めたらしい。
まあ名前だけ知るだけでも全く認識は違うし、なんだかんだいって最後にはこだわっている本格的な街であって田舎特有のチャチなものではない書いているわけで、うーん、有名作家の技量とかブランドとかすごいなと思った。
長崎オランダ村概要
長崎オランダ村については知らなかったので調べてみた。
ちょっとカオスなことになっているようだ。
1983年開園→2001年閉園→
2005年再生→半年で破綻→
2010年市役所移転、2016年施設再開
まあおカネかかりそうだしね…。
でも小説内で言われているようにハコはレンガの一個からヨーロッパの本物同様いいものだから、なんとかみんな再利用しようとしているのだと思う。行ってみたい。
ハウステンボス、長崎オランダ村、村上龍…佐世保すごいですね…。
劇団四季
劇団四季がボロクソに書かれていて笑った。
先にカンブリア宮殿で劇団四季の浅利慶太にインタビューしているのを見ていたからだ。本では普通にリスペクトしているように見え、ボロクソに言ったことにはとくに触れていなかったが、テレビではどうだったんだろうか…。さすがに言葉にはしなかったと思うが、態度に出てたりするのかもしれない。
そういうのを知って見てみると違うものに見えてきて面白い。隅突くの楽しい。