ふつうに過ごしていて、寂しさを感じる場面というのはない。…花火を除いては。
花火はご存知のとおり、破裂時の破片に色をつけることで、光と音を楽しむ遊びで、要は爆発である。
爆発によって生じた音は、大気を振動させ、はるか遠くまで届き、部屋の壁あるいはガラスに到達し、建材が振動を伝え部屋の空気を震わせあるいは直接に鼓膜を振動させる。
そして、カップル達が花火の下で照らされキャッキャしてるかいい感じにしてるのも振動と同時に伝わってくる。ような気がする。
手許のイヤホンの音量を上げても、振動として体に伝わり、逃げられない。
世の中の昼間のサービス産業の多くは女性か、カップルのためにある。
これは統計・経済的にも明らかになっていることだし(6〜7割?新聞で見た)、ショッピングモールなどを見ていても明らかだろう。
つまり女のいない男は、世の中にある多くのサービスを享受できない。
とはいえ享受できないサービスがどんなに魅力的・楽しそうでも、見なければ平気だ。
SNSは絶対しないで、家でゲームとか本とか読めば羨みとは無縁になる。
しかし、それだけの策を講じても、花火はこれでもかと、借金取りのごとく鼓膜をノックし、スルーを許さない。
一人で花火の爆音を聞いて過ごす夜の寂しさは異常だと思う。
今やっと終わったようだ。
終わっても、なんか寂しい。なんだこれ。