あらすじ
村上龍のエッセイ『すべての男は消耗品である』シリーズの中の一冊。
食、音楽、政治経済、集団…といった側面から若者を考察している。
感想
基本的に何かに苛ついていた。
そのエネルギーで、主張の手段として小説を構築するのだろう。
このエッセイの文章だけでは何をいいたいのかよくわからないことも多いが、少なくとも世代間の違い、どんなに見ているものが違うかを理解するためには役立つ。
本文中の中でいうと、私は間違いなく「死人」だろう。
女も車にも海外旅行にも興味がない。
弱った欲望の典型だ。
村上龍はその原因を経済・社会的なものに見出す。
若者がダメというのではなく、国家サイクル的な社会現象で、結果にすぎないというのがほかの小説にも見られる多くの主張の根幹となっている。
とはいえ、どうすればいい、という押しつけ、主張はない。
それは若者だけでなく人間が、自分自身で見つけていくことだからだ。
あくまで自分で考えろ!としながらも、問題・異常さをリアリティをもって浮上させてくる。
そのくらいの距離感が、個別の問題解決にはちょうどよく、現実を生きるヒントとエネルギーを与えてくれる。