村上龍 読書

不良女子高生のリアル・インタビュー集がコワい

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女子高生。JK。
言葉だけで、なんとなく惹かれる。危ないかもしれない。

なんでだろう。
制服?無垢な若さ?大人と子供の曖昧な感じ?
いろんな見方がある。

マスコミは彼女らの生態をときに社会問題として、ときに流行の最先端として紹介する。
奇抜か流行が女子高生としてひとくくりにされるのは、珍しいことではない。
じっさいに話をする機会が少ないというのも、ひとくくりにされやすい理由かもしれない。話をする機会が多いって層もあまりないけれども。

実際のところは、どうなんだろうか。
村上龍『夢見るころを過ぎれば』で垣間見ることができる。

あらすじ

村上龍と女子高生51人との対談集。
話した内容をそのままインタビュー形式で掲載している。
インタビューをするだけで、たぶん何もしていない。

女子高生は当然だが一人ひとり違う。
それぞれの家庭環境や学校環境に基づいた行動をしているだけだ。
しかし完全にバラバラということでもなく、なんとなく共通点が存在することもわかる。

真面目な人の怖さ

この本が書かれたのはタイトルの通りバブルの後、今から約20年前だ。
女子高生がどのくらい現在と変わっているのかわからないが、そう変わっていない気もする。
東京のことはまったくわからないが。

自分の高校の過ごし方を振り返ってみると、相当「真面目な人」であった。真面目というか、何もやることのない田舎に住んでいたということなのだが。

インタビューはホテルの一室で行われていて、正直いって怪しい。
真面目な子はまず来ないので、わりかし不良な、遊んでいる子ばかりが集まってくる。
対談では「真面目な人」がよく話題になった。
親に反抗せず学校と家を往復しどこかで遊んだりしない、勉強ばかりしている人。
何を楽しみにしているのか、何を話題にするのかわからない人。

村上曰く…そういう子こそ危険で、経験とか失敗なしにいきなり社会に出て挫折し、オウム真理教に入ったりする。
やりたいことがあれば別だけど、そうでもないのに親に言われるままに勉強している、不健全さがある。

東京は怖い

対談に出てきた衝撃の話題に、部活のあと飲み会をする(高校生ですよ!)、クラブによく行く、係長と付き合う、援交で本番した、小学生でテレクラのいたずらがよくあること、高校生の彼氏がアルマーニ(2,30万するらしいスーツ)を着ている、9割以上が体験済み…などがあった。

私は近くにファミレスとコンビニくらいしかない場所で育ち、荒れた学校、不良というのを実際に体験したことがない。いまどきどこにもいないのかもしれない。
話としては知っているもの、語られる内容は衝撃的だった。
インタビューの子は、自分よりはるかに不良で、高校の時点で時分より多くの経験をしているように見える。

持っている情報量の違いとして見ると、明らかに劣っている。度胸もない。
不良のほうがいいということではないが、情報量は後の人生で大きく影響するかもしれない。

エネルギーの少ない人

51人のインタビューなのでけっこう前の子のエピソードが出てくる。そっちでは本音が出ているのが面白い。

たとえば質問しても、まったく受答えのできない子がいた。
どういうときに楽しいの?-友達としゃべってるとき。何喋るの?-学校のこととか。映画とか見る?-見ない。普段何をしているの-寝てる。
何を質問しても曖昧でとっかかりがない。何に関心があるのかわからない。

本人と話している間は、説教臭くなることはなくスルーし、質問を続ける。
しかし後のインタビューでおばさんと話してるみたいだった、と酷評されていたりする笑。

こういう子は結構いる。何もやる気がなくて、具体的な答えがなく、質問のしようがない。
ああ会話スキルが低い…って思うけど、本人の情報やエネルギーの少なさという本質的な問題なのだ。

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