ローカル 読書

阿久根市は499号線をもっと売り出すべき

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とあるサイトで道路に興味を持ったので、新書の『ふしぎな国道』を読んだところ、めちゃくちゃ面白かった。
身近だが見てなかったものに不思議があり、それに理由があることに、心躍った。
身の回りのものに興味を持ち、深めていくとはどういうことなのか少しわかった気がした。

wikipediaで知った気になったことは多い。
知識の深め方としてはやはり本だなと、思った。
なんか意識高いな。

本で超ローカルな地元が出てくる衝撃

読んでいる中に、馴染み深い地名を見つけた。
阿久根市」である(地元)。
鹿児島県にある人口2万の過疎地域で、政治ネタ的には独裁政治の「竹原市長」だったり、商業的にはスーパーの「A-Z」で知っている人もいるかもしれないが逆に言えばそれしかないところだ。
知名度は県内でも低く、同県民でもどのへん?と言われるレベル。
県内ニュース以外のメディアで登場することなんてまずないと思っていたが、まさか国道の本で見るとは思わなかった。

阿久根市が登場したのは「国道499号線」の項目であった。
この国道は、3号線から分岐して60メートルだけある片側2車線の、妙に豪華な道路である。
道の先は港の建物で、特に何もなく広い道はすぐ終わる、ヘンな道。
見覚えがある、確かに歩道も妙に広くて信号機が意味不明な位置にあって車線が多くて不自然だった…。

ネタばらしをすると実はフェリーが元々あって、長崎まで運行していたらしいのだが便が廃止されて阿久根側は道路だけそのまま残ったとのこと。
海上でも航路があれば国道扱いになるんですね。

マニアな間ではけっこう有名なのかもしれない。
今現在現地に特にそれを解説するものはない(標識だけある)が、阿久根市は499号線をもっと売り出したほうがいいと思う。
ひょっとすると竹原やA-Zに次ぐ知名度になるかもしれないっすよ。

視野を広げるとは気持ちや心がけの問題ではない

…なんて小ネタなのだが、知った道が出てくると俄然テンションが上がる。
今まで何の疑問も持たず、そんなレアなものだとは思いもしなかった。
地元民でも、知っている人はごく少なさそうだ。
いや、単純にそういう話題にならなかっただけで、こっちからフェリーあったよね、という話しをすればあそこ国道あるよね、という話しになるのだろうか。
ならなそうな気がする。

疑問を持て、問いを立てることが重要だと言われても、基本的な知識がないと気づくことはない(ゆとり教育への反対意見みたいだが、別にそういう意図はない)。
逆に本を適当に読んでいて何か身近な疑問が解決することはあまりない。
自分が本に何の情報を期待しているのか、がわからない読書は宝くじのようなものだ。

疑問にもなっていない、あれってどういうことなんだろうとボンヤリとした分野の基本知識をまず得ることが先になるかもしれない。
たとえば道路の法律について基本的なことを学ぶとか。
『ふしぎな国道』のように先人の開拓した分野があり身近な疑問を解決してくれるなら、そちらを先に学んでもいいかもしれないが、知った気、上澄みの部分だけ摂取して終わる気がする。
疑問を解決するいち方法として参考にする程度だろう。

実体験から疑問を得るという方法もありそうだが、道路に対する今までの知識を考えれば明らかなように、知識がないところに疑問は生まれない。

…何が言いたいのかわからなくなってきた。
気づくにも知識が必要で、視野を広げるとは気持ちや心がけの問題ではなく浅く広く知っているかということだ。

リッチな趣味

ある世代にとっては当然でも、下の世代には当然ではない常識や情報がある。
常識が違うというのはすごくわかりづらいけど、そういうのは下の世代からすると面白いことがある。

ド田舎にとって、歴史を感じることはじつは難しい。
歴史とは人が作り残すものなので、人が少ないと歴史は残らない。
郷土愛は、「無名なド田舎ほどない説」を提唱しちゃう。
遊び場がないとかの理由もあるけど、単純に歴史を知らないのも大きいのではと思う。

国道499号線がそうだったように歴史の痕跡は残ることがあり、不自然な地形や線形には理由があって遡るとわかって面白いこともある。
田舎には楽しいことがないので、そういう妄想したり検証する対象があったらいい暇つぶしになるかもしれない。
さらに衰退していくとそういうものは日本じゅうに増えて、楽しめるかもしれない。
悪いことばかりじゃない。

地域振興とか郷土愛とかにはまったく興味がないが、今まで見過ごしてきた地元の不思議を解き明かすのは面白いかもしれない。
視野が広がり自分が成長した感じがする、リッチな趣味。
ちょっと都会人っぽい。べ、べつに憧れてはいないけど。

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