『ぼくらの』
「巨大ロボで敵と戦うたびに、1人が死ぬ」
…『ぼくらの』が圧倒的に暗い鬱アニメだということはなんとなく知っていた。
実際見てみて、その作品が描写する家庭環の不和+崩壊、友人の死…あまりの暗さにオドロき、これは!と思いイッキ見してしまった。
死ぬ事実そのものもそうだが、フィーチャーされるそれぞれの少年少女のエピソードが重い。
例えるなら、テレ東の『家、ついて行ってイイですか?』で辛い過去な人しか出てこず、インタビューされた人は必ず死亡する。みたいな感じ。最悪な例え方だが…。
以下感想、思ったことを書いていきます。
10年前の作品で今さら感はありますが、いちおうネタバレ注意です。
誰向けなのか?
終始、誰向けアニメなんだ…?と考えていました。
最初観た感じでは、中学生がロボに乗る!というので少年向けかなーと思ってましたがまもなく粉砕。
暗い+子どもはこんなの見て面白いのか?+親と見たくはない。親も子に見せたいと思うのか?ビミョー。
よく大人も楽しめる子ども向け!みたいなのはありますが、結局のところ親がチャンネル権や財布は握ってるわけで、ターゲットは子どもではなく、最初から計算ずくで、親。
だから、少年向けアニメには教育上よさそうな感動展開があるわけですね。
純粋に少年向けだったら感動いらないですもん。
なので対象層を勝手に予想すると、家庭環境の不和について客観視し、エピソードの中に自分を投影させられる青年層以降で、子がいるかは限らない!ですかね。
中途ハンパではありますが政治の場面があるのもそういうことか。
ちなみに自衛隊が軍だったり軍産複合が強かったり、マスコミが弱かったり、クルマや戦闘機の造形が異なるのはパラレルワールドである伏線であり、現実的な日本の対応ではない!というのはミスリードです。
お粗末な描写ではありましたが…。
アニメは2007年放映みたいですねー。
10年前だけあって、絵柄が古かったり3DCGがビミョーだったりしますが、その鬱さ加減には脱帽!
鬱作品を楽しみたくなる心境
たまに鑑賞したくなるウツな作品。
たぶん世の中のマダムが、ドロッドロな昼ドラを観るのもこれと同じようなメカニズムが働いているのだと、最近理解できるようになりました。
躁でハイだからバランスを取りたいというよりは、鬱なときに落ち着いてグダグダ考えたいときが多いですねー。
暗さにこそ教訓があるというか、突き放されて意味を見出す!みたいに考えるときに見たくなる?
確実に言えるのは、需要は、ある。
登場人物たちの印象(多い!)
いきなり多くの少年少女が登場するのか特徴で、しかも大して絡みが描かれているわけではないので名前と顔が一致しないという大問題に遭遇しました。
15人の子どもといっても夏休みの林間学校で知り合ったばかりなので、出身学校が同じで前々から友人だったりするんですね。
あいつ誰だったっけ…?ということもしばしば。
追悼の意を表して、生前の印象について書いていこうと思います。
・コエムシ
マスコット。ゲームの支配者的人だと思っていたが、ふつうの人で、むしろ同じ側の人間だったのが意外すぎた。
人格破綻者が多い作品だったが、随一だった気がする。
・ワク
熱血・サッカーで主人公的属性の人。金田。
まさかの不慮の事故でいきなり死んだのは衝撃的すぎた(結局後で必然だとわかったが)。
(再現)最初の敵を倒した後、500メートルのロボの肩から街を見下ろしてウオーッ!、まさに熱血主人公的な行動。
そしてちょっとかっこいいセリフを言って皆をまとめた後、ネクラがカッコつけてんじゃねえよとちょいと小突いたら落下死…ふつうの作品だったら、リーダーとしての抱負を言い、カッコイイシーンになるのがド定番なのを、打ち破ってくれました!!
あのときのポカーンとした私と、登場人物たちは同じ表情をしてました。
最速で死んだので名前が定着しなかった。
・コダマ
選民意識ガリベン系で、ファザコン。KYと人格破綻度、メガネで最初ウシロと見分けがつかなかった。
故人のメガネを拾って装備するってどうなんでしょうか。呪われたりしないんでしょうか。
・ダイチ
達観したおっさん。顔も声も発言も行動もおっさんじみていた。
杉田智和の声が浮きすぎて笑う。
Wikipediaには「並の成人男子をしのぐ頑強の肉体の持ち主」とあり、単なる作画の問題ではないことがわかる…。
極めつけは1人だけ椅子が座布団w椅子じゃないだろw
そのせいでジアース内では坐禅を組んで空中浮遊している某元死刑囚のように見える場面多数。
達観してたのはそういうわけか(ちがう)…。カンジと見分けがつかなかった。
・ナカマ
印象が薄い!薄幸な顔でポニテで、親が売春婦だった人。
定規で黒板消しの掃除(そうやるの??)をしているときに雑巾を投げつけられるシーンでなんか笑う。
エピソードと周りの人の印象は強いけど、本人の印象が薄い。
・カコ
不良。コダマに次ぐKY2号。最初の回から、やたらキリエ(デブ)をいじっていたのが印象的。
え?そこ物語的に必要ある?というところで怒鳴ったりするのを見るととても不安になる…。
・チズ
清楚系泣きボクロ。
家庭環境の不和がフィーチャーされる人が多いなか、唯一性的なところを担っていたような気がする。
畑飼先生のクズっぷりに引かれてダークサイドに堕ちた印象。
・モジ
イケメン、天才、思いやり…出るアニメを間違えた人。2人の幼馴染の話も唐突で独立してた印象。
たぶん原作ではもっと詳しかったんでしょうねー。
ネット上では原作とアニメ版の出来の違いを揶揄する言説が多く(アニメ化での劣化がひどい?)、両者で設定もゼンゼン違うらしいので原作も読んでみたいですねー。
・マキ
印象が薄い。
親がマニアでミリタリーに詳しい人。字面とボジションでマチと見分けがつかなかった。
・キリエ
デブ。
パイロット唯一のデブキャラで一発で定着したが、カコに意味不明なタイミングでいじられるのが不憫だった。
もっともカコがいなくなったら、あまり出番がなくなったので共生関係にあったとも言える。
意外と達観し洞察力もあり、なぜかロボの操縦が美味かった。
ゲームで練習してたのか?デブに悪い人はいないの典型。
・コモ
親が偉い人で、外見と完全一致して覚えやすいが、コモ=古茂田の変換がうまくいかず、結局名前は覚えられなかった。
道徳と問題解決能力はトレードオフということを教えてくれた。
・アンコ
茶髪で親がニュースキャスター。
が、見分けがつかない+名前が一致しない、とイマイチ印象が薄い。
・カンジ
おっさん2号。ウシロと友人関係のほう。母が高層建築の仕事をしていると言っていたが、実際は認知工学の研究者で、ナチュラルに設定変更??
・カナ
1人だけ小4、ウシロの妹。あからさまなDVを受けてるが、別に抵抗することはなく、将来的にとてもアブない傾向にあると感じた…。
・マチ
そばかす。
・ウシロ
根暗メガネ。
殺人鬼のいる部屋で眠れるか!と場を乱し真っ先に死にそう…と思っていたが、まさかの主人公格wそれにしちゃクズっぷりが目立ちますけど。
彼とカナの部屋がなぜか開放され、溜まり場化していくのは笑えました。
みんな勝手に入ってきて寝転んだ(or漫画読んでた)ウシロが跳ね起きる!ってシーンが何回かあったようなw
ウシロ=後ろ向きということで真っ先に名前を覚えられた人の1人。私の「宇白さん」観はこれで上書きされました。すいません。
・ココペリ
変人。攻殻のクゼに見えて仕方なかった。
名前が覚えられない
名前を覚えるのは難しい。
特にこのアニメでは苗字で呼ぶ人とニックネームで呼ぶ人が混在してるので激混乱だった…。
名前が覚えられないのであんまり没入できなかったところも。
洋ドラなんかで名前覚えるのが大変で最近はよく日本作品、アニメを見てますがここまで覚えられない作品は初めてでした。
苗字も今まで会ったことがない苗字が多く(実在するんでしょうが)、漢字変換ができないんですねー。
会ったことのある人だったら、あああの人ねとつなげてすぐ覚えられるんですが。
名前を覚えるコツって、どれだけ多くの人を知っているかだと思います。
本を読む速度に影響を与えるのは、その分野に対してどれだけ知識があるかということらしいです。
なので生まれつきではなく努力で向上する。
その理論でいえば、たくさんの人の名前を覚えてればそれだけ覚えるのも早くなるというわけです。
また、名前を忘れてもエピソードをきけば思い出すというのも示唆的です。
なので、初対面の人を覚えるにはできるだけエピソードなりを聞いてストーリーを作っておくのが重要になります。
というわけで、『ぼくらの』は人名の記憶を考える上でさまざまなコトを示唆してくれる面もありました(あれ)。